築50年伝統構法日本家屋の改修・増築
築50年の伝統構法の日本家屋をほぼ50年ぶりにリニューアル及び増築しました。
冷暖房が効かず、昔ながらの間取りの使い勝手が悪いので改修したいが、座敷などの古い造りは保存したい。仏間にもお客さんがくるので接客ができるようにしたい。
民家等の古い建物の構法、それらを活かすための現行法規について詳しく、また信頼する大工さんの紹介でもあるので任せられると思った。
昭和47年竣工、築約50年の日本家屋の改修と増築です。
完了検査済証が無く、竣工当時の斜線制限や防火規制、構造規定に違反した部分があってそのままでは増築申請が出来ない状態でした。2階部分を解体して新たに屋根を作り直すほか、外壁や構造を当時の規定に適合する仕様に是正する工事を行ってから増築の確認申請となりました。
木構造は既存部分と同じように伝統構法の木組みとしました。壁は乾式工法でしたが、防火構造にする必要がある部分は木舞土壁としました。
内部仕上げは左官を多用していて、土塗り、本聚楽、大津、半田漆喰、黒漆喰磨きなど、さながら左官仕上げの博物館のようになっています。また、応接玄関の床は亀甲型のモルタル研ぎ出しタイルを現場制作して張りました。左官は戸倉達弥氏が手掛けています。
戸袋や腰板、出格子などのディテールも伝統的な大工技術を用いて既存部分と違和感なく取り合うようにしました。
玄関右側の2階建て部分は建築当時の斜線制限に抵触していたので建て替えに近い改修となった。建築当時の法規に従う必要があったので、耐力壁を竹小舞・土壁で作り直した。一番右側には内玄関と個室、トイレ、洗面、風呂場が増築されている。
客用玄関兼応接スペース。土間の床にはモルタルに小石と色粉を混ぜたものを亀甲型に型どって磨いたタイルを現場で制作して敷きました。
座敷は新建材を塗って痛いんでいた壁を一旦剥がして、左官の土塗りを施しました。
襖で玄関とつながります。
既存母屋リビング。
半改築した2階建て部分の1階がダイニング・キッチンになっています。
増築部に設けた内玄関。増築部の壁は主に漆喰塗。土間は土風のモルタル塗りになっています。
増築部に作られた洗面室。洗面カウンターは漆喰研ぎ出しで作られている。